虹の橋を渡る日まで
「うちの子、保護センターから来る前は虐待されてたけど、今ホントに幸せそうだよ?」と言われて、ハッとした。犬だって幸せになれるんだなあ。
久しぶりに食事でもどう?って幼馴染のヒロちゃんに誘われて、レストランで待ち合わせた。殴られた口の周りの痣は青から薄い黄色に変わっていたけど、昨夜、寝ている間に切られた髪がチグハグで、彼の暴力は隠しようがなかった。
「うちの子、老人に虐待されていたらしくて、年とった男性が正面に立つとビクッとするんだけど、普段はかなりずうずうしいの、それがまた可愛くて」と、いつも通りの愛犬自慢で、ホッとする。男と別れろっていう、忠告じゃなかったみたい。
「クーラーの一番効く部屋で、一番良いソファーに寝っ転がって、私が帰ってきたぐらいじゃ、起きやしないのよ。食いしん坊で、フードの音がするとすっ飛んでく。あと散歩。散歩命で、リード見せるともう、家中走り回って喜んで、時々おしっこも出ちゃう」
「やだもう、汚いなあ」思わず笑ってしまったが、ヒロちゃんは不思議なことを言うのだ。
「それがさ、汚くないの」と。
「お散歩に行けるのが嬉しくってたまんないって姿を見ていると、おしっこなんて、全然許せちゃうの。犬が悪いことした、って思えないんだよ。汚いなんて感じなくて、こういう素直な失敗がすごく愛しくて可愛いって、感じるの。飼い主はみんなそうだよ。嬉ションしても、叱
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