虹の橋を渡る日まで
獣医さんにオーラルケアの指導を受けてから、定期的にお口のチェックをしている。うちの子は身体を触られるのが大好きなくせに、口の中を触られるのが大嫌い。いつも大騒ぎだ。
ものすごく抵抗される上、悲痛な声まであげちゃって、大げさなんだ。でも、お口のケアをしないと、病気になる確率が高くなるし、何より寿命に差が出ると獣医さんは言っていた。どんなに嫌がられても、やるしかない。
今回も大騒ぎした後、ふてくされて、ひとりで静かに玄関で何かをしていた。新しいおもちゃか何かで遊んでいるのだろうと思っていた。
次の日、通勤途中で突然、歩行困難になり、サンダルが壊れた。靴底と甲を結ぶストラップが咬みちぎられていて、完全に履けない状態だ。真夏の炎天下でアスファルトは焼けつくような熱さである。仕方なくズルズル足を引きずって、家に戻る。通学途中の高校生たちが、遠巻きに私を見ている。いくら嫌なことをされたからって、これはひどいわ。
玄関を開けたら真っ先に犯人がやってきて、ブンブン尾を振りながら愛想を振りまいてくれる。可愛すぎるうちの子の、あまりにもひどい復讐に怒った私は、キス攻撃だ。捕まえて体中にキスしてやる。倍返しである。犬は嬉しそうに体をよじってジタバタしている。大遅刻だ。
そしてまた、オーラルケアの日がやってきた。犬は私がケア用品を出した途端に逃げ回るが、そうはいかない。恨めしそうに
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