この物語は、ここ30年でノラ出身のネコを12匹保護し、一緒に生活し、ついに全員を看取ったと思ったら、今また一匹のネコと暮らしている中年男の喜怒哀楽に満ちた日常の回顧録である。
ミー(仮名)がきた! 第7回“鏡”
ミーは鏡に異常といってもいいほど興味を示した。
姿見っていうんですか? 全身の映る大きな鏡がウチにあるんだけど、ミーがウチにやってきて、
その姿見の前に初めてやってきた時、「ニャッ!? ニャニャ、ニャンだ?」
といった風情で、とにかくその鏡をジ〜ッと見つめだした。見つめるなんてもんじゃなく、もはやなにかにとり憑かれたかのように微動だにせず見つめだした。
推定年齢3才。その3年間を外で暮らしていたので、鏡というものを今までジックリと見たことがなかったのかもしれない。まさに初めて鏡を見る瞬間だったのだろう。
それは言葉を変えれば“初めて自分の姿を見た瞬間”だったのかもしれない!
ジ〜ッとその自分の姿に見入っているミー。
ひょっとして自分の姿に見惚れているのか?
「ナルシストネコ!?」
そう思っても仕方がないほど、自分をジ〜ッと見ている。
しかし!! 突然、その鏡に写っている自分に、
「ニャァァァァァァァァ!!」と叫びだした! それはなにか未知なるものへの畏怖のような叫びであった!
叫び声も、最初は、「ニャァァァァァ!」であったが、徐々に、
「ファァァァァァァァァア〜ウ!!」とい
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