虹の橋を渡る日まで
コロナで収入が減り、マンションの更新料が払えないと困っていたので、「うち来る?」と安請け合いしたのがまずかった。たった一か月だったけど、彼女との生活に消耗しきってしまって、別れを切り出した。泣かれてマンションのロビーで待ち伏せされたり、いろいろ面倒だったが、今はせいせいしている。
何より猫が元気になった。尿が出にくくなってしまい、一時は慢性腎臓病かとすごく心配したのだが、彼女がいなくなったとたんに、検査の数値がぐんと良くなった。
「これならもう、大丈夫、薬も要らないし、来なくていいよ」と動物病院で完治宣言されて嬉しくて、つい友人の獣医と余計なおしゃべりをしてしまった。獣医は友達の弟で、大学の後輩でもある。うちの子はこの病院の前に段ボールに入って捨てられていたのだ。
「こんなに急に良くなって、何かあったの?」
「同棲していた彼女がうちから出て行ったんだ」
「へー、やっぱり環境が変わると違うね」
「彼女がストレスだったって、わかってたんだけど、可哀想なことしちゃった」
彼女は猫を自分のおもちゃ代わりに可愛がっていた。うちの子は人懐っこいし、かまってもらえるのが大好きだから、彼女が相手をしてくれるのを嫌がったことはない。彼女が呼べば必ず近寄っていくし、撫でられていたら何時間でもじっとしていた。
でも、ずっと猫と暮らしていた自分から見ると、猫は無理をしていた。彼女が猫
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