時の将軍、犬公方
歴代徳川将軍の一人、江戸幕府の5代将軍こと徳川綱吉。綱吉といえば、よく知られているのが「生類憐みの令」を出した人物であるということ。
特に彼は犬をこよなく愛していたため“犬公方(いぬくぼう)”と呼ばれていた。
「生類憐みの令」を簡単におさらいすると、要は天下に名高い悪令。動物や傷病人を保護するための取り決めであり、それ自体は友愛精神にも通じるものであったが、その対象が虫、魚、貝などにも及んでしまい、庶民生活に重大な影響を及ぼした。ただし当の綱吉はこれをあくまでも自分の善意と独断に基づいて実行させていたので始末が悪い。彼の死後、「生類憐みの令」は即座廃棄となった。
冒頭からちょっと暗い話になったが、今日はその綱吉が特に愛したという狆(チン)の話をしていこう。
狆は日本原産の魅力的な小型犬
狆は海外では「Japanese Spaniel」とも呼ばれていることから分かるように、日本原産の犬種となる。柴犬、秋田犬などと並んで、日本で発祥した犬ということになる。
特に小型犬のくくりで言えばかなり古くから愛玩されてきた犬種で、もともとの名前の由来も「小さい犬」が徐々に短縮されるようになり「ちいぬ」となって「狆」に転じたとされている。
最初は「小さい犬」と呼ばれていたというだけあって、当初は日本にも狆より小さい犬はなかなかいなかったのだろう。狆は基本的に室内飼育するべき犬種と
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