ハチ公、ボビー、パトラッシュ…
忠犬はいかに生まれるか【ブックナビ】
「亡き主人を忘れずに待ち続けた」ことがハチ公の忠義の中身であったが、ハチ公にすればごく当たり前のこの行為が称揚され、有名になるにつれて、折からの富国強兵の軍国主義の高まりのなかで、「忠君愛国」を教え、自国意識を高揚させるために利用されたのである。(第一章忠犬とその系譜より)
どんな犬でも飼い主さんのことは大好きです。普遍的な犬と人の愛情に色をつけて、利用しようとしてつくったのが忠犬だった、と教えてくれたのがこの本です。ハチ公、グレイフライアーズ・ボビー、パトラッシュと3頭の有名な忠犬をあげて、その背景となる社会的・歴史的状況から、なぜ三頭の犬が忠犬になったのかを解説してくれたのが、「忠犬はいかに生まれるか」(飯田操・著)です。
紹介されたなかで、日本人にはあまりなじみのない忠犬がグレイフライアーズ・ボビーでした。飼い主はエディンバラ市警に夜警として勤務していたジョン・グレイという人で、ボビーを残して結核で亡くなります。亡骸はエディンバラの旧市街にあるグレーフライヤーズ教会を取り囲む墓地に埋葬されますが、ボビーは主人であるグレイの墓の傍らで過ごしました。ボビーを忠犬にしたいと考える勢力は、ボビーを動物愛護運動などに利用しました。
ボビーは2頭いたかもしれないという説もある
人間の勝手で犬をいろいろな形で利用し
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