虹の橋を渡る日まで
庭に時々、大きな猫がいるなというのは家族みんなが気づいていた。母は猫好きだから、見つけるとうち子が食べなくなったカリカリご飯を庭に投げて、与えていたと言う。
最初にこの子の被害にあったのが妹で、自転車のサドルで爪とぎをされていたらしい。表面が傷ついて、そこから雨水がしみ込んでいた。「知らないで座っちゃったら、中から水がしみてきて、ホント気持ち悪いったら」と文句を言っていた。
私は時々、この子の匂いに気が付いていた。猫が長い縁側の下で夜を過ごしているのが、匂いでわかった。母と妹は「ほんとに?おねえの神経質が出たんじゃないの?」なんて言われたけど、野良猫が少しずつわが家に侵入してきている気配を感じていた。
大雨の予報が出て、明日は低気圧が直撃するという警報が出た日、玄関を開けたら猫がドアのすぐそばにいた。私の顔を見て、しわがれた声を出した後、玄関からするりと入ってきたのだ!
「おかあさん!ちょっと!猫が入って来ちゃった」大声で叫んだら、母が飛んできた。
「ずぶぬれじゃないの、かわいそうに。洗面台から雑巾もってきて、あと新聞紙もね」母は猫をこのまま家に入れるつもりらしい。
「ねえ、大丈夫なの?うちのミミちゃんに病気が移らない?」
「大丈夫よ、ちゃんと予防注射をしたもの。あと、ミミちゃんのカリカリもってきて」
母はウキウキしながら猫の世話をしている。
私は野良猫が玄
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