民話の猫は、個性豊かで魅力たっぷり『世界の猫の民話』
日本民話の会外国民話研究会編訳【ブックナビ】
若いネズミが年老いたネズミにこう言った。
「猫は美しい動物ですね。その体の動きや動作の優雅さにほれぼれしますよ」
「そうかもしれん!じゃが、その優雅さはネズミの命を犠牲にして得られたものだと忘れるでないぞ!」(紺野)
(「『猫の優雅さ』ブラジルより)
猫の民話ばかりをあつめた面白い一冊。他にも犬の民話があり、両方で対比しながら読めるようになっています。民話は口伝で人々に伝えられることが多いせいか、登場する猫は人と同じようにしゃべって、行動し、考えることも人と同じで、生き生き暮らしています。普段、いっしょに暮らしている時に感じる猫のものの考え方、行動パターンがそのまま民話になっている印象で、猫好きならばクスッと笑える民話がたくさん紹介されています。
猫がしゃべったらきっとこんなことを言うだろう、と納得できるフレーズばかり
”猫は犬と同じように家族の一員として大切にされています。しかし、犬が人間の友として忠実な面を持っているのに比べ、夜行性である猫は本来の野性味を失うことなく、自分の世界を持っている動物といえるでしょう。よく知られたペローの昔話「長靴をはいた猫」には人間と対等の立場、というよりも素朴な人間に知恵をつけながらしたたかに行動を進めていく猫が登場します。猫の知性、高い自尊心
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