狼の群れはなぜ真剣に遊ぶのか【ブックナビ】
犬の祖先と言われているオオカミの生態について、数十年に渡って観察してきたドイツ人研究者が書いた、オオカミ愛に溢れる一冊が、「狼の群れはなぜ真剣に遊ぶのか」(エリ・H・ラディンガー著、シドラ 房子翻訳、築地書館刊)です。愛犬家にとっては、しつけや飼育の面で参考になる内容がたくさん紹介されています。
著者は弁護士の職を辞して、インディアナ州のオオカミ研究施設ウルフパークに飛び込み、1991年にはドイツオオカミ保護協会を設立してしまいます。「オオカミ家族ほど心温まる自然のシーンはあるまい」と書く通り、群れのほほえましい姿が、これでもかと紹介されています。負傷したり、高齢でも見捨てられることなく、助け合います。弱者切り捨ての人間より、よほど高度な社会性を保っている動物でした。
オオカミは弱者を見捨てないだけではなく、そばにいて世話や看病までします。子どもや赤ちゃんだけでなく、大人の負傷者や高齢者にもつきそい、吐き戻して食べ物を与える記述は感動的です。大人の仲間へのいたわり行動は、人間とオオカミにしか見られないそうです。
高齢のオオカミは体力的に劣るものの、狩りを上手にコントロールする能力をもち、高齢オオカミがいると、狩りの成功率が150%もアップするそうです。お年寄りは大切にするべきなのです。
他にも、「群れにも、平和な状態を取り戻す能力を持
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