その昔、「コウザキ様」という犬の神様がいた。
日本では狩猟を生業にした人々をマタギと呼んでいました。マタギはマタギイヌという狩猟犬を使って猟をしていました。マタギが鉄砲で撃たなくても、小型の動物は利口なマタギイヌが獲ってきてくれたので、大切に飼育されていました。
マタギの村落では、マタギイヌはかなり高額で取引されていたようです。中でもアカと呼ばれるアキタは昔から猟が上手いと評判でした。
狩猟系のアキタは現在のアキタに比べて小型で目が細い
猟は危険を伴い、大型の野生動物により、マタギイヌが亡くなる事故も多かったようです。九州の日向山地では、狩猟中に亡くなった犬を、コウザキ様という神様として祀りました。
自宅に石を使ったコウザキ様の塚を作り、御幣(ごへい)を祀りました。猟でイノシシが獲れると、肉の七切れを串にさして供え、猟の無事を感謝し、手を合わせました。
猟犬は単なる食糧確保のための道具ではなく、猟師にとっては野生動物と戦う大切なパートナーでした。寒い冬は暖かい土間に入れて、家族として大切に飼育していたようです。
猟師が犬を連れて猟に行き、たくさんの獲物を捕ると、犬だけ先に家に帰って土間に上がります。前足をトントンと動かし、たくさん獲れたという合図をして、家族に知らせました。
逆に獲物が獲れなかった時は、猟師とともに家に帰り、土間に上がらず、家の隅の方で静かにしていたそうです。
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