虹の橋を渡る日まで
コロナの緊急事態宣言が解除されて、ようやく田舎に帰ることができた。私は田舎に残してきた両親と猫と本が心配で、朝一番の飛行機を予約した。父親が農作業用の軽トラックで空港に迎えに来てくれた時は、涙が出てしまった。
家までの道のりの間で、帰れなかった2年の間に田舎で起きた出来事を聞いていた。東京では聞くことの少ない、懐かしい訛りにつつまれていた。
玄関を開けるとすぐに猫たちがやってきて、忘れられていなかったと安堵した。しばらく再会を喜んで、猫と遊んでいると、母親から「さっさと着替えて、食事よ」と叱られた。
二階の自分の部屋を開けて驚いた。完全に、猫部屋になっている。私のベッドや机はあとかたもなく、猫の寝床とトイレが置かれている。押入れを開けたら段ボールが積まれていて、私の荷物が入っていた。
床にはビニールシートが敷かれて、爪とぎしても傷が付かないようにリフォームされている。壁には階段がしつらえてあり、高いところで眠れるようになっていた。
たった2年の間に私の痕跡をすべて消されていた。突然、変化してしまった自分の部屋を見て、驚きと悲しみが沸き上がってきて、呆然と佇んでいた。
母親が怒鳴りながら「何してるのよ、早くご飯食べに降りてきてよ」と階段を上がって来た。私は涙を飲み込んで、「今行く」と猫のおもちゃの間に荷物を下ろした。
部屋に入って来た母は、猫部屋を見まわして、
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