虹の橋を渡る日まで
うちの子はシェルターからお迎えした保護犬だ。売れ残りというと言い方は悪いけど、やや大きめのサイズと真っ黒な泥棒顔で、一目見てかわいい子とは言えない犬だったせいか、ずっと保護センターで飼育されていたらしい。
母が溺愛していた犬が亡くなり、ちょっとうつ状態になってしまって、父が何でもいいから犬を飼うと意気込んで動物保護センターに駆け込んだ。職員さんから「この子なら今すぐ引き取れます」と紹介された子をお迎えした。
他の子はワクチンがまだ済んでいなかったり、避妊・去勢手術が終わっていなくて、いろいろ面倒な手続きが待っていた。うちの子になった犬は健康診断も終わっていて、「お迎え」の準備万端だったのだ。それでも引き取り手が無かったのは、やっぱり体の大きさと顔だったと思う。
父は母が元気になるなら何でも良いという勢いで引き取り、私も母もちょっと心配だったが、よく見ればとても愛嬌のある犬だった。真っ黒の顔をして、アーモンド型の目がちょっと垂れている。静かな子という印象だったが、それが大間違いだったのはお迎えして数日たってからだった。
やって来た初日はとてもおとなしく、「いい子だね」と家族全員が感動したほど、しつけられていた。母も「犬って本当にいろいろ違うのね」と感心していた。後になってお迎え当時の「猫を被っていた犬」のエピソードは、笑い話に変わっていく。
中型犬より大きかった
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