虹の橋を渡る日まで
友達から一緒に占い師のところに行ってくれないかと誘われた。10年も付き合っている彼氏とこのままズルズル付き合ってよいのか、それともきっぱり別れるべきか、自分では決められないと言うのだ。
「すごく当たるってお母さんが誰かに聞いてきた占い師さんなの。彼と結婚できるかどうか、一緒に占いに行ってくれない?」と真剣なので、付いていくことにした。
商業施設の一角にある占いコーナーのようなところを想像していたのだが、友達は普通の一軒家に入っていく。
「ホントにココ?普通の家だけど?」
「お母さんの地図だとココみたい。名前も合ってる」
普通の家の普通のインターフォンを鳴らしたら玄関で小型犬がワンワン吠えている声が聞こえた。昔うちで飼っていたヨーキーの吠え声だ。懐かしい。でも、こんな普通の家に住んでいる占い師なんて、あたるのかなあ。
ドアを開けたらエプロンのおばちゃんが犬を抱いてニコニコあいさつしてくれた。
「ミヤガワさんちのお嬢さんね?お母さんから聞いてるわよ。寒いから入って」
出してくれたスリッパには犬のアップリケがついている。
案内された応接間にも犬の写真がたくさん飾られている。占い師のおばさんは普通に犬好きらしい。ちょっとホッとした。
「えーとね、ここに誕生日と名前を書いてね、お友達のあなたもね」
渡されたメモ帳は平塚信用金庫のものだった。こんなんで当たるのかなあ。
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