誤解がとけた面々に、恋の力がもたらしたものは。――西條奈加「隠居おてだま」#10-4

※本記事は連載小説です。
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「どうしよう……えらい勢いで薪を割っていて、声をかけてもふり向きもしないんだ」
　千代太が気遣わし気な顔を、仲間に寄せる。
　昼のおやつ時に、噂は一気に広まり、千代太はようすを見にいったが、善三は家裏で、何かにとり憑かれたように、薪の山を築いていたという。
「放っといてやれよ、武士の情けだ。よしの母ちゃんの祝儀と、重なっちまったからな。よけいにいたたま
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