虹の橋を渡る日まで
神経質な兄嫁のおかげで、実家からやってきた猫が私の生活をずいぶん豊かにしてくれる。コロナで一変した世界の中で、猫が私の救世主になってくれた。
コロナ前から何となくギクシャクしていた彼氏とも別れてしまい、仕事もリモートワークという体の良い派遣切りみたいな感じで、精神的にずいぶん追い詰められていた。そんな時に実家の母から猫を引き取ってくれないかと言ってきたのだ。兄嫁がはじめての出産を前に、「赤ちゃんがケガをしたら困る」と猫との同居を嫌がったらしい。
「ケガなんてさせないと思うし、猫には可哀想だけれど、もともとあなたが拾ってきた子だから」と猫好きの母は悲しそうだった。私も猫は家につくというし、一人暮らしのマンションに慣れてくれるのか、内心とても不安だった。
4月末に連れてきた頃は静かにしていたが、少しずつ家の中を歩き回って、ここは安全だと確認した。今では昔からこの家の主の様に、堂々と寝ている。悠々とねそべっている姿を見ていると、仕事も恋愛も何とかなる気がしてくるから不思議だ。
何だろう、この猫の余裕のある感じって。自分に自信があって、欲求に素直で、それでいて繊細なところと、賢く立ち回る知恵がある。もともと私が拾ってきた子で、実家にいた頃は私が世話をしていたから、この子のことはよく知っていたはずだけれど、ふたりで暮らすようになって、毎日、猫のすごさを実感させられる。
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