トラとミケ【ブックナビ】
ねこまき著「トラとミケ」(小学館刊)の第二巻「トラとミケ こいしい日々」が発売されました。懐かしさいっぱいの老舗どて煮屋「トラとミケ」をめぐる物語。新刊では常連のルミちゃん、お隣のカメラ屋シンちゃん一家が登場して、今回もたっぷり笑ってたっぷり泣かせてくれます。
お店を切り盛りするしっかり者のトラ姉と、「幸せ」が口癖で食いしん坊のミケ妹を取り巻く、どこか懐かしい世界。今回は東京オリンピックの思い出も登場します。そして、何とあの人(猫)が聖火リレーで伴走したエピソードが登場!陸上選手だったという意外な人物、誰なのかはぜひ手に取って確かめてみてくださいね。
「ねことじいちゃん」の作者が描くトラとミケの世界は、現代を舞台にしながら、昭和ならばどこにでもあった、ありふれた世界です。その世界が今、コロナで閉塞感いっぱいの中で、不思議な魅力をもって、私達の心に迫ってきます。
一巻「いとしい日々」でも感じましたが、二巻「こいしい日々」ではこのトラとミケの世界が、さらに魅力的に感じられてなりません。ふらっとお花見に出かけること。カウンターで美味しいお酒と食事をいただくこと。自宅でお寺さんを呼んでの法事。どれもこれも、私達が普通にやってきたことでした。
それが自由にできなくなった今、失われた幸せを思い出しながら読む「トラとミケ」は、これまで以上に魅力的です。ちょうど父を亡く
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