【殿堂入り記事】「動物行動学」で明らかになる猫の世界
私たち人間が猫たちと仲良くできること、当たり前のように思っていませんか? ノラ猫とは街中でもよく遭遇しますし、ちょっと足をのばせば猫カフェで好きなだけ推し猫とたわむれることができる現代。でも実は、それってすごく奇跡的なことなんです……!
そんなことに改めて気づかせてくれるのが、イギリスの動物学者ジョン・ブラッドショー博士の著書『猫的感覚――動物行動学が教えるネコの心理』(早川書房)。世界でも珍しいイエネコの研究で数多くの論文を発表している著者が、「動物行動学」の観点から人間と猫の歴史をひもといたものです。アメリカでは「ニューヨーク・タイムズ」紙でベストセラーになり、NPRブック・オブ・ザ・イヤーも受賞しています。
ジョン・ブラッドショー/羽田詩津子訳『猫的感覚――動物行動学が教えるネコの心理』
猫が私たちと暮らしを共にするまでには、悲しい歴史が
犬は、番犬になったり人間の狩りのお供をしたりと、生まれ持った社会性から人間たちの生活をサポートするための資質を磨かれ、さまざまな犬種が生み出されてきました。でも、集団生活よりも単独で行動する性質がある猫は、人間とも主従関係を結びません。せいぜい米を食い荒らすネズミを捕ってくれるくらい。それでも人間は彼らをパートナーとして選びました。しかも純血種の猫たちは、人間の役に立つというよりもその
コメント