虹の橋を渡る日まで
「もう君に愛情は無くなった」と言われた瞬間、別れる決意は固まった。そうか、それなら家で仕事をしながら、愛のない男のために、すべての家事をしてやる必要はない。子どもが産まれなくてよかった。少しずつ部屋を整理しながら、別居の準備を進めている。
問題は犬だった。夫が勝手にペットショップで買ってきた犬で、ずっと私が世話をしていた。私に相談なく、いきなり家に連れてきた時も、大喧嘩をしたっけ。
夫は「子どもができたら犬と一緒に育てたかった」と主張したが、自分が原因のセックスレスで、何が子どもか。本当にふざけた男だったよ。
しかし、動機はともかく、犬自身はとても性格のよい子で、しつけなくてもきちんとマナーを守れる賢い子でもあった。当然、世話をしている私が引き取るつもりだったのに、夫は猛然と所有権を主張してきた。
「俺がショップから買ってきたんだから、ロンは絶対に渡さない」と強情だ。
甘やかすばっかりで、きちんと世話をしたことがない人が何を言うか、だ。会社勤めの男が朝5時に起きて散歩して仕事して、夜にまた散歩なんて、とうてい無理だ。
夫は私の思い通りにさせたくない一心で、犬の所有権を強情に主張してきたのだ。やったこともないくせに、犬の世話なんて、簡単なことだと思っているのだろう。
「あなたが引き取るなら、ちゃんと飼えるって、証明してよ!」と、思わず声が大きくなる。もともと
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