虹の橋を渡る日まで
今年はペルセウス座流星群の当たり年だったらしい。孫が生まれたばかりだというのに観測に行く気満々だった兄は、「嫁と娘に怒られて行けなかったよー、残念だったわー」と電話をかけてきた。ちょくちょくこうやって他愛の無い電話をよこしてくる兄はお人好しで、女性に騙されかけたこともある。それを未然に防いだのが当時の我が家の愛犬、「星から来た犬」のコスモだった。
カール・セーガンの「コスモス」が話題になり、スペースシャトルの初飛行もあった頃だったから、もう40年以上も昔のこと。ペルセウス座流星群の夜、その犬は我が家にやってきた。
当時高校生で天文部だった兄は、顧問に連れられ流星群の観測に出かけていた。明け方になって戻った兄が、申し訳なさそうに仔犬を差し出したのを憶えている。
「観測中に気が付いたら足下にいたんだよー」と言う。突然現れた犬に首輪は無く、周りに民家も無い。部員たちから、「可哀相な捨て犬だから、お前が面倒見ろ」と押しつけられたらしい。
星が降る夜に来たからと「コスモ」と名付けられた仔犬は、見た目は普通の雑種犬だったが、抜群に賢い子だった。家族全員にとって初めての犬で、とまどう家族の心配をよそに、あっと言う間に慣れて、すぐに我が家の一員となった。
コスモは不思議な犬だった。散歩中によく他の犬に吠える子と出くわしても、コスモが鼻先を向けると、おとなしくなってしまう。犬
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