親戚の家事代行のために震災前の神戸へ。目的地には横たわる犬も
僕は現在37歳になるが、実は子供の頃の記憶がかなり残っている。多分宮崎の田舎育ちだったので娯楽が少なく、結果的に日々の出来事をたくさん忘れずに済んだんだろう。
そんな僕が4つか5つぐらいの頃、神戸に住んでいる遠い親戚宅から祖母にSOSが届いた。その家の奥さんが病気療養をすることとなり、その間の家の仕事を祖母にお手伝いさんのような形で代行してほしいという、そんなお願いだった。
人がいい祖母は二つ返事で了承したが、僕の母親はシングルマザーだったので日中は家にいない。必然、普段は祖母が世話をしてくれていたので、一つの条件として「孫も同行させる」を祖母は提示した。
これが受け入れられて僕は、まだ阪神大震災が起きる数年ほど前の神戸に、1か月か2か月ほど滞在することとなった。
最初にその親戚の家に入ったときの記憶は鮮明だ。玄関に入ったらすぐに、動物を飼っている世帯特有の匂いが鼻を突いた。
リビングに入ると、そこには90センチぐらいの水槽の中に、グリーンイグアナが鎮座していた。そしてその水槽のすぐ近くには大きなダンボールがあって、その中に犬が入っていた。
この犬は、入院中の奥さんが結婚前から大事にしていた大型犬だったが皮膚の病気にかかっており、寝たきり。ところどころから血が染みていて、ここから“あまりいい気分はしない匂い”が漂ってい
コメント