虹の橋を渡る日まで
お昼休み中、三人の社員たちが固まって弁当を広げ、プロ野球のクライマックスシリーズについて盛り上がっていた。
「今年は絶対日本一になるからね、あんたたちは噛ませ犬ってやつよ」
「ナニゆうてんねん!奇蹟の大逆転を見せたるで~」
「あの、野球はやっぱり巨人……」
「巨泉かっ」
「巨泉ってだれ」
関西弁でまくし立てているのが群馬出身の阪神ファンのマユミだ。ま、楽しそうで結構。自分はあまり野球に興味が無いから、若い社員がこうして楽しそうにしているのが、ちょっとだけうらやましい。
「だいひょお~」
関西弁のマユミが私の席までやって来た。
「なんだね、何にも専務」
「また~、私、専務ちゃうし、毎度同じオヤジギャグやめてほしわぁ」
いつもこんなやり取り、あいさつみたいなもんだ。
「何?」
「だいひょお~、あの、今週末、大阪に行きたいんですけど、ええですか」
「別にかまわんよ。あ、もしかして甲子園に行く気?」
「いや~、そうしたいところやけど、斉藤さんところで一緒にテレビ応援しよかと」
斉藤さんとはウチのデザイナーで社員だが、コロナで実家の大阪に帰ってリモート勤務をしている。PC画面では変わりがないけれど、実際に様子を見に行ってくれるのはありがたい。
マユミは似非関西弁を使うなど、ふざけているが、仕事の腕は良くて、コロナ禍を乗り切ってくれた。ムードメーカー的人材である上、ひそか
コメント