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私の中でアドルフは生きて、走る。【犬が死んだ朝】

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ペットニュース
犬が死んだ朝
父の遺品整理をしていたら、靴の箱の中から手縫いのポーチがでてきた。四角く固いものが入っている。探している通帳かと期待しながら開けたら、たくさんの犬の写真だった。わが家で飼ってきた歴代の犬たちのほかに、私の知らない犬の写真も含まれていた。
犬の写真だけをまとめたもので、幼い父が猟犬と写っていたり、制服姿の父の家族写真の足元に犬が座っているものもあった。写真をめくっていると、裏に父の筆跡で昭和35年7月~昭和42年12月と書かれたシェパード犬がいた。これが父の愛したアドルフか、と、すぐにわかった。父は私が生まれる前に飼っていた大型犬のことを、なつかしそうに語っていたからだ。実物を見るのはこれが初めてで、なかなか凛々しい姿をしていた。
「利口な犬で、私の指示を間違えたことがない」「やきもち焼きで、お母さんに嫉妬したんだ」そんな風に語っていたっけ。アドルフは有名な警察犬の繁殖家が手放した、血筋の良い犬だった。生まれつき歯が一本無かったので、父のような一般の愛犬家に譲られたらしい。
アドルフに関して、忘れられない言葉がある。父はアドルフを引き合いに出して、「本質を見誤るな」と諭したのだ。リボンが可愛い制服の私立中学に行きたいと、我儘を言った時だった。
突然、昔飼っていた犬の話が出てきて驚いた。「アドルフは素晴らしい犬だったのに、繁殖家はたった一本の歯が無かっただけで、優秀な犬

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